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[ 2024/12/28 02:48 | ]
カルネージハートの兵法
ちょっと忙しくて月単位でログインしてない気がしますが元気です。
そういうわけでゲームの内容について書くことがありません……





唐突ですが、カルポ時代に自分がすごく興味をひかれた話題がありまして
ちょっと引き合いに出させてもらいます
ISAさんの「予測射撃について」というエントリと、
コメントやトラックバックを介して交わされる話題がそれです


このISAさんとnas-Bさんのやり取りがすごく新鮮で
もう何度も読み返してしまうくらい好きなのでした
一見すると予測射撃の難しい話をしているように見えるのですが
本論は 「戦術」と「ギミック」のどちらから機体作成をスタートさせるか です

本文は続きを読むの中に。

■戦術とギミック

大会機を作成するとき、皆さんはどちらを先に決めるでしょうか?
ISAさんは砲戦という戦術から、nas-Bさんは予測射撃というギミックからであるとここでは語られています


思い返してみると、nas-Bさん同様ギミックを軸にして戦術を展開したのが自分でした。
しかし自分と決定的に違っているのは、nas-Bさんがこの時点でどちらも間違いであることを認識していた点です


そのことが窺える文章がコメントの中にありました
「テクニックやギミックは切り離して基本設計をしたり、後付けで強化するのは難しいと思っています」


ギミックを出発点としつつ、戦術とギミックの双方を行き来してひとつの戦術として確立する、これがnas-Bさんの、あえて言えば「戦術観」ということになるでしょうか



■目的と手段

ところで「戦術とギミック」という言葉を使いましたが、これはごく一般的に言えば「目的と手段」の関係性にあります
目的と手段を履き違える、手段が目的になるなどと言われますが
nas-Bさんが予測射撃の活路として砲撃戦術を組み立てていったように
実は目的は常に固定的なものだとは限らないのが面白いところです


それもそのはずで「戦術とギミック」という対比よりも上位に
「戦闘への勝利とそのための戦術」というこれまた「目的と手段」の対比構造が成り立っていて、固定されているのは唯一「戦闘への勝利」という最上位の目的だけなのです


予測射撃のように、下位の手段でありながら上位の目的に与える影響度が大きい手段をもってすれば、中間の戦術が果たす役割は「手段を活かす」というだけの限定的なものになります。
nas-Bさんが「ギミックは戦術の一部となり得ます」と言ったのはそこで、ギミックそれ自体が戦術の代わりになるというのではなく同じレベルで結果に影響を与えうるということなのです



■戦略と戦術

さて、「目的と手段」の関係をさらに広く適用してみましょう
戦術とよく比較されるのが戦略です
戦略を実現・強化する手段が戦術ですから戦術の目的が戦略ということになります


  戦略
   ↑
  戦術
   ↑
  ギミック


PS版をやったことのある人なら分かると思いますが
「勝てなくてもいいから相手に弾薬を使い切らせる」
「全滅しても1機倒せば上出来」
こういうのが普通は戦略上の一場面では選択肢として考えられるわけです


残念ながらPSP版以降のカルネージハートは戦略パートが省略された
戦術シミュレーションゲームとなっていますので、戦略要素はありません


――というのはミスリードで、
基本的には1回の対戦で「戦闘に勝利する」という戦略に固定されていると考えます


これが対戦相手を変えて複数回のトライアルを競う大会になると
「苦手な敵には引き分けを狙う」
「特化機体はごく少数だから負けても構わない」
といった、単一の勝利以外の戦略的要素が生まれてきます
戦略には「メタ読み」や「メタ戦略」も含まれます


このように複数の戦略が存在しうることは
戦略のさらに上位の目的が存在することを示唆しています


  戦略目的(優勝)
   ↑
  戦略(全戦全勝、ただし飛行と車両とスプーと霧は諦める)
   ↑
  戦術(半包囲からの遠距離砲撃戦)
   ↑
  戦技/ギミック(予測射撃、オプション管理、被弾追撃等)
   ↑
  装備(150対徹冷冷盾盾MT大カノンアラクネ)


ここに示したとおり、ギミックの下位の手段として「装備」が位置します
ギミックがソフトウェアにより実現されるのに対し
装備は機体自体を含めたハードウェアにより構成されます



■機体作成の考え方

機体作成においては、上位の目的から下位の手段を選択する方法と
下位の手段により実現する目的を組み立てていく方法の2通りが存在します


上位の目的から設定するにはそれなりの知識が要求されます。
1.手段を変化させることで実現できる目的がどのように変化するか
2.手段が目的に与える影響はどの程度か
この2点を十分に知った上で
3.目的に必要な手段は何かという判断ができます
ここまで来て初めてトップダウンの機体作成が有効に機能するようになります


下位から決めていく手法はより具体性があり選びやすいのですが、この図式でいえば優勝から最も疎遠であるということが分かります。
しかし同時に最上位の目的に与える影響も最小となるため
適切に戦技、戦術、戦略を設定していけば戦略目的に適う可能性も十分にあります


プレイスタイルとして一概にどちらが良いとは言えませんが、
どちらの方法をとるにしてもこの「適切な設定」が重要になります。

ギミックを追求することで戦術の影響を最小とするスプー格闘機や
ギミックを追求することでECMを不要とするミサイル回避の存在から分かるように
適切な設定を行うためには双方向からのアプローチを繰り返して完成度を高める必要があります。



このあたりから初級者/中級者/上級者という枠組みで考えてみると

初級者:それぞれの装備でとりうる戦術やギミックが分かる
中級者:それぞれの戦術を実現するためのギミックや装備が思い浮かぶ
上級者:それぞれの戦術でとりうる戦略が分かる

というのが目標で、あとは大会ごとにどの戦略が有効かを吟味する段階に入ってくるのかな。



■後記

さて、おおよそこれまで語られてきた「カルネージハート」というゲームを包括的にこじつけてみましたがいかがだったでしょうか
ちょっと抽象化しすぎた嫌いも感じつつ。

以前から考えていた戦略、戦術、ハードウェアとソフトウェアあたりの話題をまとめました。
たまたま旧帝国海軍に「戦略、戦術、戦務」という言葉で作戦全体を考えていた人物がいたことを知り、自分が考えていた図式もあながち間違いではなさそうだと思って記事にしてみました。

拍手[6回]

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[ 2011/12/08 23:29 | Comments(2) | 未選択 ]
1. posted by 浸透襲撃  2011/12/10 10:38
どうもお久しぶりです。
この手の話は非常に好きなので興味深く読ませて頂きました。

戦略/戦術/戦務という三階層については色々なところで語られており、この3つを統合したものを「ドクトリン」という人もいます。

ドイツの電撃戦とか日本の空母戦はこれにあたりますが、同じ発想がカルネージハートでも出てくるのは実に面白いところです。

私も最近ブログの更新サボリ気味ですが、これは良いネタになりそうです。
2. posted by ライ  2011/12/11 23:14
浸透襲撃さんこんにちわ。

実際の軍隊や戦争と比較できるのは面白いですよね。
戦略や戦術は経済学にも応用されているので元から適用範囲が広いのでしょうけど。

改めてすごいなぁと思ったのは、
実際の戦争では次々と新しい装備が開発されいくのに対して
カルネージハートは最初から決まった装備だけしかないのに
戦術や技術が高度化していくということですかね。

ここのところ基礎技術の研究をおろそかにしてしまっているので
「戦略と戦術」という観点から短期間でみんなに追いつける糸口を用意できたらいいなぁ、なんていう邪心もあったりなかったり。

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